2018年04月18日 09:47
「難治てんかん」とは、どういう場合をさすのでしょうか。
「てんかん治療ガイドライン」(日本神経学会、2010年)では、難治てんかん(薬剤抵抗性てんかん)を次のように定義しています。
そのてんかん症候群または発作型に対し適切とされている主な抗てんかん薬2~3種類以上の単剤あるいは多剤併用で、かつ十分量で、2年以上治療しても、発作が1年以上抑制されず日常生活に支障をきたす状態。
また、日本てんかん学会の「てんかん外科の適応に関する指針」(2008年)では、「薬剤抵抗性の見極めと手術時期」について、次のように記載されています。
薬剤抵抗性のてんかん
2ないし3種類の抗てんかん薬による単剤または併用療法がなされている
発作が2年以上続いている
2つのガイドラインに共通するキーワードは、
・2~3種類の抗てんかん薬
・2年以上、発作が続く
このような条件に当てはまる場合は、今後、さらに薬を工夫しても発作が止まる可能性はかなり低いので、外科手術が可能かどうか検討しましょう、という指針です。
薬で発作が止まらない難治てんかんの患者さんの割合はどのくらいでしょうか。
「てんかん治療ガイドライン」(日本神経学会2010年)では次のように解説しています。
思春期以降の未治療のてんかんに対して薬を開始した場合、
1番目の薬で発作が抑制される患者 47%
2番目の薬で発作が抑制される患者 13%
3番目の薬で発作が抑制される患者 4%
1番目に処方された薬で発作が止まる患者さんは半分弱です。
最初の薬で改善しない場合には2番目あるいは3番目の薬を試しますが、最初に比べるとずいぶん効果が落ちていますね。
このデータでは3つ目の薬までで累計64%。
薬を3つ試してみれば、3分の2の患者さんで発作が止まります。
しかし、残り3分の1の患者さんでは3つの薬を使っても発作が止まらないのです。
3番目までの薬で発作が止まらない場合に、4番目の薬を使って効果が出るか?
あまり大きな期待はできません。
4番目の薬が効果を発揮する確率はかなり低いので、「2~3種類の抗てんかん薬」で発作が止まらない場合を「難治てんかん(薬剤抵抗性てんかん)」と呼ぶわけです。
引用元:http://apital.asahi.com/article/tenkan/2014092400011.html